クレーム対応のコツ

社会人ならばクレームをつけたり、つけられたりといった経験はかならずある筈です。

こんなことがありました。私はsitemix.jpという無料Webスペースを使っていて、ここでは無料なかわりに広告が入るのです。ただし、月150円払えば広告を非表示にできるので、それを利用しているのですが、最近、携帯で見てみると、あろうことか広告が表示されているのです(厳密には、そのサイトでは、UA が Docomo の場合 Content-type を application/xhtml+xml で、それ以外は text/html で送出しており、後者で不具合が発生していた)。

これは怪しからんと、すぐにsitemix.jpのサポートにメールすると、別々の人から返信が2通あり、

1通目は、

当方のミスでした。現在は不具合は解消しております

との内容でした。

2通目は、

「登録時のメールと違います。登録時のメールでもう一度送って下さい。本人確認ができない場合は退会していただく場合もございます

とのことでした。

まず、同じ用件に対して複数の担当者がバラバラに返信しているというのがおかしいですね。これは苦情処理システムが存在しないか、あるいは非常にプアであることを示しています。

それは我慢するとしても、2通目の印象の悪さはかなり致命的です。登録者本人にしかできないこと、例えばFTPパスワードの変更などを他のメールアドレスから行おうとしたのならいざ知らず、「不具合の指摘」は何人(なんびと)にも開かれているはずであり、「本人確認のためメールを送り直せ」などと要求する理由は何もありません。
ましてや、「退会して頂く場合もございます」などと恫喝するなどもってのほかです。

かなり頭に来たので、「なぜ本人確認が必要なのか説明して下さい」と書いて(一応、登録時のメールアドレスで)送りました。
すると、担当者から再度返信があり、弊社のサービスに不具合があった点は重ね重ねお詫びするが、本人確認を行ったのは個人情報保護のためであり、どうぞご理解頂きたい、とありました。

一見もっともらしいですが、よく考えるとおかしな話です。
仮に、登録者でない者が登録者を騙ってクレームを付けてきたとしましょう。それによって正式な登録者が退会させられてしまうのはおかしいですよね。
不具合を指摘するのにどのメールアドレスを使おうと自由な筈であり、現に1通目の担当者は普通に対応しています。
要するにこの2通目の担当者は、苦情を申し立ててきた者に対して小さな「精神的勝利」を得るために屁理屈を捏ねているだけで、個人情報保護云々は後付けの理由に過ぎず、しかも論理的に誤っています。

それに、詫びを入れるポイントもずれています。
不具合は予期せずして起こるものですから、一度謝れば十分、「重ね重ね」お詫び(本当に何度も詫びていた)する必要はありませんが、「退会させるぞ、コラ」と無礼なメールを寄越したことについてはぜひ詫びて欲しいものです。人間は、往々にして、どうでもよいことはすぐに謝る癖に、相手が本当に怒っていることに対してはなかなか謝ろうとしないんですよね。

もっとも、こんな行き違いが起きたのは、迂闊にも登録時と違うアドレスを使ったせいであり、そもそもボタンを掛け違えたのは私の方です。その点を反省するに吝かではないのですが、ただ、このやりとりから何か教訓を引き出すとすれば、この2通目(本人確認が出来ない場合は退会して頂くという恫喝)のようなクレーム処理の仕方は、極めて拙劣であるということです。
本来、最初の用件である広告非表示サービスの不具合は、すぐに解消されたのですから、非常に効果的な対応ともなり得たのに、です。

確かに、クレーム対応はイヤな仕事だと思います。
そもそも、対応者は不具合等クレームの内容について責任がない場合が殆どでしょうしね。

昔、上司がこんなことを言っていたのを思い出します。

頭を下げていると思うと腹も立つが、尻を持ち上げていると思えばなんのことはない

この精神が必要です(笑)

尚、ずいぶんケチをつけましたが、sitemix.jpのサービス自体には非常に満足しています。容量1.5GB、PHP/CGIも使えます。

気をつけよう! 著作権

先程の記事を投稿していて気づいたのですが、Seesaaブログの記事投稿フォームに「気をつけよう!著作権」というリンクが追加されています。(このブログサービスをお使いでない方には分かりにくい話ですみません)

わけのわからないコピペブログが蔓延している状態ですので、啓蒙のためということなのでしょう。

が、ちょっと違うんじゃないかと思うことが一つ。
「有名人の写真を掲載してもよいですか?」という問いに対して、

有名人の場合、その写真の著作権だけでなく、パブリシティ権も侵害してしまう可能性もあります。許諾を得ていない場合、利用は控えてください。

とのことですが、別に有名人でなくてもパブリシティ権は認められます。否、むしろ一般人の方が有名人よりもパブリシティ権が認められる範囲は広いのです。判例(pdf)は、著名人も通常人も、正当な理由なく、その氏名・肖像を第三者に使用されない権利を有する点において差異はないものの、著名人の場合、報道等の目的でその氏名、肖像を利用されることが通常人より広い範囲で許容される(従ってパブリシティ権が認められる範囲が狭い)と述べています。

実際に問題となるケースは有名人の場合がほとんどでしょうけれども、上記のSeesaaの説明のように「有名人の場合」に範囲を限定してしまうのは適切ではありません。

録画補償金ってどないやねん

デジタル放送の録画に関して、著作権団体と器機メーカーとの駆け引きが続いています。現状のコピーワンスがあまりにも使い勝手が悪い、ムーブに失敗してしまうと文字通り元も子もなくなってしまう、と言う点では認識は共通していて、EPNという特定の受信機に限って再生可能な方式でいくのか、それとも所謂ダビング10を導入するのか、その場合録画補償金はどうするのか、といったことが焦点となっています。
世代管理のできないEPNは権利者側の大反対で見込み薄とのことで、ダビング10が導入される公算が大となっていますが、この方式、確かに10枚もコピーできれば十分のようにも思えるものの、孫コピーは一切できないという点でユーザーとしてはなんとも気持ち悪い代物です。加えて権利者団体はダビング10のもとでも録画補償金制度が維持されることを当然の前提としており、同制度の縮小ないし中止を求めるメーカー各社とは真っ向から対立しています。

私たち消費者としては、孫コピーできるに越したことはないし、録画補償金制度にはどうも釈然としないしで、どうしてもメーカーの方を応援したくなります。

が、しかし、ここでは別の視点で考えてみたいと思います。

確かに、権利者団体は、あれもこれもと録画補償金の対象を増やそうとする一方で、がんじがらめのコピーガードを求め、非常に強欲に振る舞っているように見えます。しかも、文化庁等から天下った「理事」とやらがロクに仕事もせず甘い汁を吸っているらしい……。本当に奴ら、ロクなもんじゃねぇ!
と、このように悪者にされがちな権利者側ですが、実は、私は彼らに大いに同情しています。権利者達は、メーカーの猛烈な攻撃を受けているのです。これは戦争みたいなものです。

順を追って説明しましょう。

コンテンツと録画器機とは経済学でいうところの補完財に当たります。補完というと補い合って一人前、仲間、というイメージですが、実際は正反対で両者は敵同士なのです。どういうことかというと、一方の製造者は他方の価格を下落させることによって自らの製品の需要を増すことができるのです。
例えば、自動車とガソリンとは典型的な補完財ですが、ガソリンが安くなればなるほど自動車が売れるのは容易に想像できます。逆に、自動車が安くなればガソリンが売れます。
同様にコンテンツが安価になればなるほど録画器機は売れて、メーカーは儲かるのです。極端な話、コンテンツが全て無料の世界、自由にコピーできる世界こそがメーカーにとって最高の理想です。

何を当たり前のことを、と思われるかも知れません。しかし、考えてもみて下さい。自分の不利益がそのまま相手の利益となるような「敵」がいて、彼らが物凄い勢いで攻撃してくるのを。しかも、彼らは豊富な物量を擁しており、中立だと思っていた第三国(消費者)もどうやら敵方に付いたようです。
ツラいですよね。怖いですよね。権利者たちはまさにそのような恐怖に晒されているのです。(ここでは”権利者”と”権利者団体”を故意に同一視していますが、これは議論を簡単にするためで、もちろん、現実には両者の利益は完全に同一ではありません)
この著作権団体と録画器機メーカーの戦い、今のところメーカー側が巧く攻めているように見えます。権利者側はあまりにも戦い方が下手です。
「録画補償金」はどう考えても筋の通らない制度であって、たかだか総額数十億という規模に過ぎないにもかかわらず、著作権団体=守銭奴というイメージを作り出すのに一役かってしまっています。これに固執するのは実に愚かなことです。

やはり面倒でもコピーするたびにお金を払うようにすべきです。そのかわり、100枚でも200枚でも(枚数に応じた)金額さえ支払えばコピーできるようにする。技術的保護手段が十分強力で、金額が適正ならば、海賊版を防ぎ権利者に十分な利益をもたらす筈です。そもそも、我々消費者が孫コピーなどするのは極めて稀なことで、問題は、必要とあればいつでもそれができるという安心感が欲しいだけなのです。複製が必要ならお金を払う、ということが当たり前になれば、お金を払わずに複製することに対する罪悪感が自然と形成されます。友達にちょっとコピーさせて、などと頼みづらくもなります。

まぁ、言うは易しで実際に上記のようなことを実現するのは非常に困難ではありましょうが、幸い、最近はあらゆることがオンライン化しつつありますので、コピーの再生にはオンラインで買ったキーが必要、という形にすれば不可能ではないのではないでしょうか。

いずれにしろ、筋の通らない録画補償金を払わせられつづけるのだけは御免です。そのようなことになれば、全ての消費者がデジタルコンテンツにそっぽを向くようになり、遠からず文化の衰退を招くでしょう。

続・Winny使用者逮捕に思う

先日、Winnyを使用してウィルスを流していた大学院生が逮捕された事件について少し書きましたが、結論としては、静止画1枚の著作権侵害で捕まえるのはいかがなものか、ということでした。
ただ、警察の名誉のために言っておきますと、これは決して警察内部の点数稼ぎでもなければ見せしめ逮捕でもない(と思う)のですね。もちろん、このケースは明らかな別件逮捕に当たりますので、刑事訴訟法上の問題を抱えているのは確かです。恐らく、その点を鋭く突かれると有罪に出来ないことも考えられます。
が、そのことはひとまずおいて、今日は一般論として「捕まえやすい奴を捕まえる」・「目立っている奴を捕まえる」というのは警察のやり方としては必ずしも間違っていないということを論じようと思います。

交通違反の取締りなどを考えると分かりやすいのですが、割と「捕まりにくいコツ」みたいなのがあって、例えばネズミ取りをやってる所はしょっちゅうやってますし、飲酒検問なども「今夜当たりやってそうだな」と思うと案の定やってますよね。で、毎回要領の悪い人が捕まる、と。捕まった人に言わせると「オレより悪質な奴がいっぱいいるだろ! なんでそいつらを捕まえずにオレを捕まえるんだ!」ということになるわけですが、警察としては「悪質な順に捕まえる」というのは不可能ではないにしても非常に困難です。もし、どうしても悪質な順に捕まえろというのならもっと人員・予算が必要になる。つまり、「捕まえやすい奴を捕まえる」というのは限られたコストで最大限の効果を上げるためにある程度有効な方法なのですね。つい、コストを増やさずに各員の努力で対処しろ! と言いたくなってしまいますが、このような旧日本軍的精神主義は現代人の気質に合わないので、まずうまくいきません。それに、努力によって吸収できる幅には限りがありますしね。

結局、費用対効果を考えると一罰百戒も已むを得ないといったところですが、これには二つ問題があります。まず一つ。聞くところによると、インパラの群れは近くにライオンが来ても大して恐れる気色を見せないそうです。何故かというと、ライオンに食われるのは最も弱い個体一匹だけなので、皆自分だけは大丈夫と高をくくっているのです。これと同じことが犯罪者にも起きるのではないかと思うわけです。(インパラに失礼ですね。すみません)
もう一つは言うまでもなく不公平感を招きやすいということです。
まぁ、そんなことは警察もよく分かっている、否、一番よく知っている筈で、彼らは常に一罰百戒主義と天網恢々主義の間で最も効率の良いポイントを見極めようとしていることでしょう。

それにしても、正直者が馬鹿を見ることが多い世の中、警察にはしっかりやって頂きたいものです。

Winny使用者逮捕に思う

21日の日経「波音」を読んでいて思わずのけぞりました。

ハイテクとローテク
ファイル交換ソフト「ウィニー」の開発者を逮捕するなどネット犯罪の捜査で知られる京都府警が、今度は国内で初めてコンピューターウイルスの作成者を特定、逮捕した。「捕まるはずがない」と思っていた容疑者を割り出したのは高度な解析技術だろう。しかし、激しい電脳戦の一方で、「ウイルスがネット上に放出されていた時間帯に何をしていたか」といったことを裏付けるため、容疑者に対する地道な尾行や行動監視が繰り返されていた。華やかに見えるハイテク捜査を、足で稼ぐ昔ながらのローテク捜査が支える。何故かほっとした気分になる。(坂)

いかにもネット社会の悪者「ウイルス作成者」を捕まえてお手柄という感じですが、この事件、実はウイルス作成ではなく「著作権侵害」容疑での逮捕なのです。で、何の著作権かと言えばアニメの静止画一枚なのだとか。確かに、一枚でも侵害は侵害です。捕まってしまったのは仕方ないようにも見える。どうせ悪い奴ですしね。
しかしながら、見渡すと、アニメの静止画などそこらじゅうのサイトに使われてます。彼らは逮捕されていません。キャプチャした画像をそのまま使うのはもちろん、自分で描いたものであっても厳密には違法となる(権利者から許諾を得ている場合は別。また、固有の創造性を持つものも別ですがまず認められない)のですが、「このくらいいいか」と思ってしまったり、よく知らなかったりで、特に自分で描いたものはほぼ問題なしという認識が大勢となっています。
また、権利者(ここではアニメ会社)の方でもいわゆるファンアートを一律に禁じてはかえってイメージダウンとなるとして、例えば(株)ガイナックスなどは「ファンが自分で描いたものはサイトに載せてよい」という方針を採っています。(ただし、ガイナのガイドラインをよく読むとエヴァンゲリオンとフリクリについてしか規定しておらず、他の作品、たとえばグレンラガンのイラストはどうなのかということははっきりしません。多分NG? って、もはやオタクにしかついて行けない話になってますね(笑))

さて、件の容疑者がウィニーで流したのはキャプチャしたものか自分で描いたものか、恐らくは前者でしょうが、いずれにしろ侵害の度合いはかなり軽微と言えます。交通違反で言えば、5キロオーバーで捕まえるようなものです。まぁ、違反は違反ですから一歩譲って捕まえるのは良いとして、「国内で初めてコンピューターウイルスの作成者を特定、逮捕した」と胸を張るのはちょっと違うんじゃないか、と。

何より驚かされるのは、いやしくも社会の木鐸たらんとする者がこのような明らかな別件逮捕を上記の引用のように賞賛していることです。ジャーナリストとしてどうなんでしょうね。ま、ブルジョア新聞だからかなぁ(笑)

最後に。私はウィニー使用者を擁護しているわけではないので誤解しないでくださいね。

ニコニコ動画が重いっ

ここ数日、ニコニコ動画(RC2)がものすごく重いですね。動画によっては見られたらラッキーという感じになってます。アクセスが殺到しているのでしょう。

……それにしても面白いですよね、ニコ動。何が面白いと言って、あの一体感といったらない。私は主に猫動画を見ているのですが(笑)、猫がなにか可愛いしぐさをした瞬間に「かわいいいいい」と一斉にコメントが入る、あれです。実際には皆それぞれ時間的にかなり離れて閲覧しているわけですが、なんとなくみんなで一緒に動画を見ているような気にさせられます。疑似同期性というのだそうです。

さて、私たち利用者にとっては実に楽しいニコ動ですが、反面難しい問題を孕んでいます。

一つは採算です。有料のプレミアム会員が今後もそうそう増えることはないのは目に見えていますし、広告収入はかなり増えつつあるものの、未だ赤字だそうです。このまま行くとリソースを増強できずにますます重くなり、従って広告収入も伸び悩むという悪循環に陥るかもしれません。

もっとも、現状では動画の読込みに失敗して再度読込みする際に暇つぶしに先に表示された広告を見たりする人もいるので、ある意味うまくいっているわけですが、それも一時しのぎであって、あまりにも動画が重いとやがて利用者から見放されてしまう心配があります。

もう一つは著作権問題です。YouTube 等にも言えることですが、特にニコ動には映画やドキュメンタリ、ニュース、アニメなど、放送に供された番組があまりにもアッケラカンとアップロードされていて驚かされます。

もちろん、権利者から削除要請があればニコ動側は直ちに応じるのでしょうが、そのように権利侵害の監視コストを全て外部に負わせるのはいかがなものかと思われます。当然、権利者によってはそのようなコストと、被った損失とを天秤にかけて、見合わないと考えたならば放置せざるを得ないでしょう。

また、権利者は、ニコ動利用者の「反発」も考慮に入れなればいけません。例えばある放送局の番組(を違法にアップロードしたもの)が次々と削除されると、その放送局がネットを検閲している(法的には、検閲の主体は行政権ないし公権力であると(学説にもよりますが)言われていますが、ここではもっとざっくりとした大雑把な意味で言っています)という悪いイメージが広まってしまうかも知れません。利潤を追求する私企業である放送局にとって、株価に直接影響する「悪いイメージ」は深刻な問題です。

もし、ニコ動が、権利者はこのような利用者の「反発」を慮って強い態度に出ることが出来ない、ということを計算に入れているとすれば、かなり悪辣だと言わなければなりません。

しかし、です。ぶっちゃけ私もニコ動に上げられている映画やアニメを喜んで見てしまっています。利用者としては権利者のことなんか知ったこっちゃありません。

正直に言って、画質も音質も遙かに劣るにもかかわらず、普通にテレビで見ているよりニコ動で見た方が面白いのです。それというのも最初の方で述べた疑似同期性のお陰。これはもう、新しい動画の楽しみ方なんですね。

ですから、ニコ動が上記のような著作権問題を抱えているのは確かなのですが、権利者、特に放送局は、もう頭を切り換えてチャンネルが一つ増えたと考えればいいのではないかと思います。放送局が率先して動画をアップロードし、広告収益を山分け、コレです。もちろん、今のところテレビCMとニコニコ市場とでは規模が桁違い(前者が大きい)ですし、権利処理も素人が考える以上に複雑なのは承知していますが、それらを乗り越えてこそ放送の未来がある、と言っては言い過ぎでしょうか。

ぜひとも、利用者・ニコ動・権利者の利害が巧い具合にすり合わされ、今後も便利に利用し続けられるようになることを期待します。

……やれやれ、あまりにも重いので何度もリロードしながら待っている間に思い浮かんだことを書きつづっているとやたらと長くなってしまいました。「ふちゃぎん家の日常」が見たいのに~。

厄介なのはスティグマ

庄内拓明さんがコピー問題の割り切れない思いで、コピー問題にも(大きく分けて)二通りあると論じておられます。そして、さらにコピーが問題にならない世界について深い洞察をなさっています。(ちなみに私は「コピー」を「デュプリケート」の意味に誤読して、頓珍漢なコメントをつけてしまいました(汗) 氏は、複製ではなく”コピー”についての話をされています)

さて、詳しくは当該エントリを読んでいただくとして、ここではコピーを問題にする人達と問題にしない人達との対立について論じましょう。

現在、先進各国が揃って知的財産権保護の強化に取り組み、かつてないほど著作権(や意匠権、特許権など)が強化されつつある一方で、フリーウェアという大きなムーブメントがあります。下世話な言い方をすると片方は「もっともっと金よこせ」と言い、もう一方は「金なんぞいらぬ、広く普及した方が良い」と言ってるわけです。 私も含めて、後者にシンパシーを感じる人が多いのは当然ですよね。

だがしかし、です。自分達はお金なんかいらないからといって、「いや、お金欲しいよ」という人達にまで権利を放棄せよというのはあまりに乱暴な話ではないでしょうか。印税等で我が身と家族を養っている人もたくさん居るのです。いきなり、「お前の作品も無料で再利用できるようにしろよ」と言われても困ってしまいます。やはり、現に存在している権利は尊重しなければなりません。

そこで注目されるのが クリエイティブ・コモンズ のような仕組みです。クリエイティブ・コモンズは、よく誤解されるように何でも非営利にしろとかパブリックドメインにしろとかいうわけではなく、あくまで著作物の利用が円滑に進められるように工夫された枠組みであって、権利者自身が著作物の利用のされ方を決めることが出来ます。クリエイティブ・コモンズにしたい人はすればいいし、したくない人はしなければいい。これで万事解決、良いこと尽くめのように思われます。

しかし、ことここに至って、スティグマ問題が浮上するのです。
ここでスティグマとは聖痕のことではなく、奴隷や犯罪者に押された烙印のことです。自由な再利用を認める人達の割合が一定以上に達すると、それを認めない旧来の立場の人達に「守銭奴」というスティグマを押すことになってしまわないか、私はそれを危惧します。
ですから、著作権の「独占性」は今後も原則として維持し、自由に再利用を認めますよ、というのはあくまで例外に留めるべきであると考えます。

――もっとも、世の中「お金欲しい」人達の方が、「お金なんかいらない」という理想主義者より強固な地歩を得ているのが常ですから、上記の危惧は杞憂というものでしょうね。
と言うより、両陣営の一方があまりに優勢になるとマズいのであって、両者のバランスが取れているのが一番なのかも知れません。

まぁ、無料で使えるものが増えた方が嬉しいことは嬉しいですよね。ソフトウェアに関して言えば、しばしばフリーウェアの方が有料のものより優秀だったりするんですよね~。

※広義のフリーウェア。ソフトウェアに限定した話ではありません。ちなみに、クリエイティブ・コモンズはソフトウェアについては何も規定していません。

JASRAC様、ごきげんよう

さて、このブログ、いきなりつまづいてしまったかも知れません(汗

古いカントリーブルースの楽曲の多くはいわゆる”Traditional”で、作者不詳の曲をそれぞれのブルースマン、ブルースウーマンが自分なりにアレンジして歌っていたものが多いです。Traditionalなら著作権消滅してるから耳コピで譜例載せてもOKかな~、と軽く考えていたのですが、当ブログの趣旨は「偉大なブルースメンのテクニック」を学ぶ過程を御覧になっていただく(というか、一緒に学んでいきたい)ということですので、そのブルースマン、例えば「ミシシッピ・ジョン・ハートのテクニック」ならば、彼の実際の演奏をたよりに「ここはこんな風に弾いてますね~」といった具合にしたいのですが、彼のアレンジにはTraditionalとは別個の著作権があり、楽譜を載せるには権利者に使用料を払う必要があるわけです。

さらにややこしいことに、調べてみるとJASRACの管理楽曲ではないもの、権利の一部については管理しているが他の部分については「未確定」なもの、などが多くあり、素人に過ぎない私にとっては正しく許諾を得るのはかなり難しいということが分かりました。

なにしろ一つ間違えば莫大な金額を請求されかねませんので、譜例の掲載には慎重の上にも慎重を期さなければいけないと思います。(もっとも、単価x閲覧数で課金されますので、始まったばかりのこのブログ、そうそう沢山の方に見ていただけるとも思えませんので大丈夫かな? って、ダメですよね(笑))

できればそのうち権利消滅している曲を探して、練習曲に選びたいと思います。それまでは、ベースの動きやコードの押さえ方、コード進行、私的ブルース考などを記していきます。