内田樹氏のカジノに関する発言。
カジノにおける「収益」というのは要するに「客の負け分」のことです。毎年830万人が一人400ドル負けてくれることをカジノ推進派は計算しているそうです。「他人が不幸になればなるほど収益が増える」というのはビジネスモデルとして設計が間違ってませんか?
— 内田樹 (@levinassien) 2014, 9月 29
これに対して、やまもといちろう氏が、
他山の石と申しますか、専門外のことを概念だけで分かった気になって語ると馬鹿と思われるということを噛み締めながら書くエントリーなんですが。
と強烈な皮肉とともに批判しています。が、どこが馬鹿に見えるのか私にはよく分かりません。
毎年830万人とか一人400ドルとかいう数字の妥当性はひとまず措くとして、カジノの利益の源泉は客の負け分と考えることの何が間違っているのでしょうか。
確かに、負け分が全てカジノの利益になると思っているのなら馬鹿そのものです。しかし、内田氏が言っているのはそういうことではないでしょう。
客が突っ込んだ金を全て吐き出すならばいざ知らず、一定の率で控除する以上、客から見た一人あたりの収支は平均すれば必ずマイナスになるはずです。内田氏はこれを負け分と言っているわけです。
そして、その客のマイナスの和を、移項して符号を反転させたものがカジノの収益にほかなりません。ホテルやレストランなどでも多少は利益が上がるでしょうが、カジノそのものから上がる利益に比べれば微々たるものです。
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ついでに言えば、「専門外のことに口を挟んでも」良いと思うんですけどね。門外漢が間違ったことを言っていたら、専門家は「間違っている」と指摘すれば良いだけです。馬鹿と思われるだのなんだのといった人格攻撃の方が余程みっともない。
ちなみにカジノ導入の是非に関しては、私の考えは内田氏とは違って、どちらかと言えば賛成の立場です。
既にルーレットやバカラより数段タチの悪いパチンコという賭博が蔓延していますからね。パチンコは少額で始められるわ、どこの町にもあるわで、極めて容易にハマってしまう点、その弊害はカジノの比ではありません。
カジノ導入を機にパチンコの適正化、わけても三店方式という脱法的な手段による換金の禁止が実現すれば、言うことはないのですが。