山月記

若い人と話していて、彼が「山月記」を読んでいることに感心したことがあります。後で知ったのですが、今は高校の教科書に載っているんですね。なるほど。

臆病な自尊心と尊大な羞恥心。特に若者が避けなければならないのは前者ではないかと思います。

世の中に「努力」を嫌う人が多いのは、単にそれが苦痛だからではなく、努力してみてなおその道に達することが出来ない、つまり才能がないことが明らかになるのを恐れるからです。

青年は、臆病な自尊心など持たず、自らの進む道を定めて、とことん努力すべきです。

私の世代は山月記も教わらず、ややもすれば「努力なんてかっこわるい」という風潮でした。しらけ世代というやつです。私自身、さして努力家というわけではありませんが、この風潮には強く反発したものです。他人の努力をあざ笑うのは醜いことだし、それを恐れて努力しないのは愚かなことです。

それを教えてくれるこの作品を高校の教科書に載せるのは誠に結構なことだと思います。

ただ、教科書に載っていると逆にきちんと読まないということはあるかもしれませんね。若者は、親や学校の先生の言うことを聞かないものだし、教科書に載っているというだけで退屈な文章に感じるかもしれません。

若者に影響力のある芸能人やスポーツ選手が、「臆病な自尊心など持つな」とメッセージを送ってくれると良いのですが。

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