ジーコのツバ吐きと瀋陽総領事館事件と運動神経

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Fußball Urheber: Anton (rp) Winter 2004 Nutzungsrechte freigegeben: GNU GNU Free Documentation License.

唐突ですが、ジーコのツバ吐きをご記憶でしょうか。確か94年のJリーグ、彼は鹿島アントラーズでプレイしていました。川崎との決勝戦、後半30分過ぎ、詳しい経緯は失念しましたが鹿島が PK をとられたその時、ジーコがボールにツバを吐きかけたのでした。これに対して審判はイエローカードを出し、前半の一枚と合わせてジーコは退場となりました。

私は、ツバ吐きの理由にはあまり関心がありません。
関心があるのはなぜ「レッドカードではなかったのか」です。あの時、審判はイエローカードではなく当然レッドカードを出すべきでした。もちろん、ルールブックには「ボールにツバを吐いたらレッドカード」などとは書いてありません(多分)。恐らく、「紳士にあるまじき行為をしたらレッドカード」という包括規定があるのみだろうと思います。従って、審判は「紳士にあるまじき行為」であるか否か判断する必要があったわけです。その線引きは確かに難しいでしょう。
しかし、スポーツマンであるならば、まして審判という模範的スポーツマンならば、ピッチの上でやって良いことと良くないことの区別は瞬時にできて欲しかった。

またもや唐突ですが、ここで私は瀋陽総領事館事件を思い出すのです。2002年5月8日、瀋陽の日本総領事館に北朝鮮人の亡命者が駆け込み、それを追いかけてきた中国の武装警察官が領事館の敷地に侵入した事件です。この事件は一部始終を脱北者を支援する NGO によって撮影されており、様々な問題が明るみに出ました。子供を抱えて泣き叫ぶ女性を屈強な武装警察官が引きずっていく様子は確かに野蛮な印象でしたし、その後、武装警察官が敷地内に落としていった帽子を副領事が拾ってやっているところなどは、「何を悠長なことをやっておるか」と批判されたものでした。

ですが、私の関心はただ一点、なぜ領事館の日本人職員は誰一人として武装警察官の侵入を体を張って阻止しなかったのか、ということです。体を張ると言ってもたいしたことではありません。警官の進路に立ちはだかればそれでよろしい。中国の武装警察官がいくら野蛮でも、まさか外国の領事館員を殴ったり突き飛ばしたりはしないでしょう。

なぜか。それは運動神経が鈍いからに相違ありません。恐らく、領事館の職員は、中国の官憲が敷地に入ってはならないことを頭では良く理解していたはずです。しかし、イザというときに体が動かなかったのです。

その後、中国に対して「厳重に」抗議はしたとはいいますが、その効果の程は甚だ疑問です。なぜなら、体を張って止めなかった、そのこと自体が、如何に日本の外交官がヌルいか、真剣でないかを証明してしまっているからです。運動音痴はナメられてしまうのです。

こうして考えてみると、「考えるより先に体が動く」「理屈よりも直感で瞬時に正しい判断ができる」、すなわち運動神経は、スポーツマンのみならず多くの人にとって大切な能力であることが分かります。もちろん、沈思黙考して結論を出す、「考える人」も世の中に必要ですが、危機に対してサッと体が動く人、オタオタしない人、そういう人が現代において不足しているように思います。居合いの達人のように、静かな水面の如く穏やかな心を持ちながら、背後から襲いかかる者があれば、一閃、斬って捨てるような人です。

まぁ、そこまでの境地に達するのは無理にしても、常日頃から体を動かして運動神経を鍛えておきたいものです。

「運動神経」が良い、悪いという言い方は俗語であって、正しくは「運動能力」とでも言うべきなのでしょうが、本エントリでは敢えて「運動神経」としました。その方が感じが出ますので。

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