千葉県浦安市の「パークシティ・タウンハウス3」の住人達が、地震による液状化現象で被害を受けたのは、三井不動産が地盤の調査・改良を怠ったためであるとして、損害賠償を求めた裁判で、東京地裁が住民の訴えを棄却しました。
浦安と言えば東京に近く、とても便利な場所ですから、当然宅地も高価だったことでしょう。世間では、「それ見たことか、これだから埋め立て地はどうのこうの~」と知った風な口を利く者が多かったものですが、その嬉しそうな口ぶりは、他人の不幸は蜜の味という言葉がぴったりでした。
気の毒なのは住人達です。
一般に、住宅の基本構造部分に瑕疵がある場合、買い主は売り主あるいは請負人に補修を求めたり、損害賠償を請求したりできます。民法では請求できるのは瑕疵を見つけてから1年間です。ただ、家が建ってから30年後、50年後に「瑕疵を見つけた」といって賠償請求されるのでは売り主がたまらないということで、かつては請求できる期間を引き渡しから2年程度に区切る特約を結ぶのが普通でした。
平成12年より施行された住宅品質確保法によりそれが10年に延長されましたが、逆に言えば、引き渡しから10年経つと請求できなくなるということです。
パークシティ・タウンハウス3が分譲を開始したのは1981年とのことで、10年どころか30年が経過しています。液状化が予見可能だったならば別ですが、そうとも言えなそうです。住民敗訴とした裁判所の判断はやむを得ないところなのでしょう。
しかし、報道によれば、傾いた家を元に戻そうとジャッキアップしてみれば、基礎の部分から空き缶やらハイヒールやらのゴミが大量に出てきたという話です。実際にやったのは下請け・孫請けであるにしても、三井不動産の対応には疑問を感じます。
ここで思ったのは地鎮祭の効用です。地鎮祭や棟上げが、ともすれば時代錯誤のように言われる昨今ですが、どうせ分からないからと人の家の基礎にゴミを混ぜ込むような輩がいる限り、無意味ではありません。
神主が御幣を振ったり塩をまいたりしているのを見れば、さしもの不心得者もゴミを捨てて良い場所かどうか分かるでしょうから。