英語の諺に “Do not swap horses when crossing a stream.” というのがあります。「川を渡っているときには馬を替えるな」。落っこちたら危ないですからね。
これは旅の心得を述べたものではなく、「国家が困難な状態にあるときには、政権を交代させるべきではない」という意味です。なぜそれが分かるかというと、1864年のリンカーンの演説が初出だからです。ちょうど南北戦争が熾烈を極めていた時期です。
© Gregory F. Maxwell (GFDL-1.2)
翻って我が国の現状を顧みると、これまた極めて困難な状況にあります。まさに川を渡っている最中のようなものです。しかるに、震災以降政権交代を求める声が益々大きくなってきました。つい先日は菅総理に不信任案が提出されましたし、それが否決された現在も「菅降ろし」の動きは続いています。
ですが、なぜ菅総理が辞めなければいけないのか、私にはどうも分かりません。なにか特別落ち度があったわけでもないし、今辞めても、小沢・鳩山の一派を利するだけです。
確かに、菅さんは名宰相とは言い難いかも知れません。リンカーンと比べるなど片腹痛いと言われれば、その通りです。しかし、そのリンカーンも実は、議会の承認なしに軍を増員するなど、かなりきわどい政策を行っていました。
もし、今の日本の政治家なら「憲法違反の独裁者を許すなーッ!!」とか言って政局化していたことでしょう(笑)
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菅総理に望むのは、震災復興に必要な予算・法律を粛々と通していくこと、そして、どうしても内閣が持ちそうもないときは思い切って衆議院を解散することですね。
それまでは、菅続投で構わないと思います。
最悪なのは、「菅降ろし」の圧力に屈して、民主党の誰かに「禅譲」してしまうことです。それだけは避けて欲しいものです。