囲碁の井山裕太七段が名人戦の挑戦者となったそうです。
確か入段されたとき、張栩九段(当時)との記念対局が行われたのをおぼろげながら覚えています。井山初段(当時)がコミ無しの先で打っていたかと思います。
記憶違いだったようです。今思い出したのですが、確か逆コミ五目半でした。やはり、プロに成り立てとトッププロとではそれだけの差があるということでしょうか。
結果は張九段の勝ちでしたが、井山初段は奇想天外な作戦で果敢に戦い、一時はあわやというところまで行きました。
普通、碁というものは、特に強い人同士となると先の先まで読んで実に微妙な戦いをしているので、素人には何をやっているのかよく分からないことが多いです。
ところが、プロは、魅せる碁と言いますか、見ている者を驚かす奇想天外な手を時として打つのですね。繊細微妙というよりは豪快な手を。お金を取って人に碁を見せるのが仕事である以上、ただ強いだけではなく、そういう才能が必要なようなのです。プロ野球で、バントばかりして勝っても観客を楽しませることが出来ないのと似ています。
井山初段もそういう意味で年は若いけど(たしか当時13歳でしたか)プロだなぁと感嘆しながら見ました。
さて、比べるのもおこがましいですが、私は20代の初めから34のこの歳まで割と碁に熱中してきたのですが、まったく強くなりません。(近所の碁会所では二段で打っています。アマ二段というのはほんの初心者のレベルです)
いやもう、本当に比べるような次元じゃないのですが。
考えてみると、人生、86歳くらいまで生きるとしてもたかだか3万日しかないのです。私の場合、もうそのうち1万2千日は過ぎてしまいました……。
何かの道で上達するというのは実に難しいこと、そして、そのための時間はあまりにも短いことを痛感します。
井山七段はまだ19歳。あの歳でタイトル戦という高みに登ったことは驚嘆に値します。おそらく、我々には想像もつかないほどの「濃い」人生を生きておられるのだと思います。
井山七段はつい先日(11日)八段に昇段されたそうです。私は井山裕太八段を応援しています。
遠雷を夢うつつに聞く夜更け哉