カジノのついでにギャンブルについてもちょっと語ってみます。
昨日、控除率という話をしました。控除率とは 1 からそのギャンブルの期待値を引いたものです。
例えばサイコロを二つ同時に振って両方とも 1 ならば、つまり博徒の言うピンゾロならば掛け金が36倍になるというギャンブルがあるとします。この場合、期待値は 1、つまりずっと繰り返していけば、損も得もなくトントンになりますよね。控除率は 0 です。
もし、30倍にしかならないとすれば期待値は 0.833 、控除率は 1 – 0.833 = 0.166 、16.6% ということになります。
控除率が低いほど客にとって有利と言えますが、ギャンブルとして健全かどうかはまた別の話です。
日本の自治体が運営する宝くじは控除率が 55% もあり、暴利も良いところです。しかも、パリミュチュエル法といって、売上げの中からまず 55% 差し引いて、残りの 45% を配当する方式です。では、ものすごく不健全かというとそうでもなく、宝くじを買うために借金や強盗をしたという話は聞きませんし、宝くじを買い続けないと手が震える人も見たことがありません。
一方、パチンコの控除率は 10% から 15% に過ぎず、パチンコ経営者に言わせると「良心的」です。しかし、パチンコ依存症で身を持ち崩したという話は良く聞くし、昨日も述べた三店方式の不透明さは別にしても、宝くじよりまともとは到底思えません。
ポイントは自分にとって「当たり」がどのくらいリアルに感じられるかです。宝くじで3億円当たった人はめったに居ません(居ても黙っているというのもありますが(笑))が、パチンコで大当たり(といっても10数万円程度)したことがある人は大勢居ますからね。
リアルに感じられるほどのめり込みやすく、不健全であると言えます。
導入が議論されているカジノについても、その点をどう設計するかですね。
国によっては自国民のカジノへの立ち入りを禁止していますが、日本に於ける議論では、どうやら日本人も遊ぶことが前提になっているようです。それはそうでしょう、不景気とはいうもののまだまだ日本人はお金持ちです。その金を狙わない手はありません。
ただし、そうなると我が国の「善良なる風俗」への悪影響についても良く考える必要があります。カジノにハマって破滅した人がどんな社会不安を引き起こすとも限りません。確かに、ごく少数は大金を手にする人も出てくるでしょう。しかし、それはそれでやはり弊害はあるはずです。
考えてもみて下さい。カジノで大儲けしたなどと聞くと、働くのがアホらしくなってきませんか?