「いぬふぐり」は春の季語です。
手元の歳時記(「ホトトギス新歳時記」稲畑汀子編)には、
早春、まだ他の花の枯れているうちから、野原や道端など至るところに瑠璃色の可憐なこまかい花が、地に低く群がり咲く。正名「おおいぬのふぐり」のことである。
とあります。
瑠璃とはラピスラズリのことですから、紫がかった青ということになります。事実、オオイヌノフグリは四弁で薄いブルーの小さな花を咲かせます。
ところがこのオオイヌノフグリ、実は帰化種なのだそうです。
そして、薄いピンクの花を咲かせる日本古来のイヌノフグリは絶滅危惧種なのだとか。歳時記の編者でさえいぬふぐりと言えばオオイヌノフグリのことと思っている程ですから、文化的にもイヌノフグリは絶滅寸前です。
帰化種に罪はありませんが、日本人の人口が減る一方の今日、いろいろと考えさせられる話です。