主人、旦那、亭主、ハズバンド

ANN のニュースを見ていると「韓日キムジャンお祭り」が東京港区の韓国大使館で開かれたそうです。キムジャンとはこの時期にキムチを漬ける風習のことだそうです。日本で開かれている以上、韓日となっているのは奇妙ですが、これは今回は言いますまい。

一番気になったのは、安倍総理大臣の夫人・昭恵さんへのインタビューです。

「(今日は三つも作れて)主人に食べさせたいと思います」
との発言の字幕が、
に食べさせたいと思います」
に変えられていました。

kimuchi

この手の言い換えは余計なお世話であるだけでなく、「主人」なる語が不適切だというメッセージでもあります。おそらく、夫婦の間に主従があることになる、という理屈からでしょう。

確かに、究極的には男尊女卑の思想が反映されていると言えなくもありませんが、現在のところ、夫を主人と呼ぶのは特に良家の奥さん方の間では普通のことです。

ああ、「良家」も平等に反する不適切用語かも知れませんね。「奥さん」も女を家の奥に閉じ込めておく思想だとかなんとか。

女性が他人に自分の夫を指して言う語としては、「夫」の他に、「旦那」、「亭主」などがありますが、「旦那」は使用人等が主人を敬って言う語でもあり、「主人」と同様の問題を抱えています。「亭主」はちょっと蔑んだニュアンスがあるので使いにくいし。

ちなみに、英語の “husband” も、古ノルド語の “husbondi” から来ており、hus は家、bondi は主という意味です。

本当にその言葉が不適切ならば、即ち、不適切であるとの意見が多数を占めれば、自然と使われなくなるはずだし、使えば非難されるのも仕方がないでしょう。

ですが、「主人」は未だそうなっておらず、命脈を保っています。テレビ屋が勝手に言い換えるのは「静かな言葉狩り」に他なりません。

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