ラヴォアジエの非業の死に学べ

先日、「Yahoo! 公金支払い」は「徴税請負」ではないけれど……というようなことを書きました。これについてもう少し敷衍して述べてみたいと思います。

徴税請負とは「私人の計算において徴税を請け負わせること」を言います。

よく誤解している人がいますが、「私人」には企業も含まれます。私人というのは公人と対置する概念で、自然人であるか法人であるかは問われません。株式会社や有限会社は全て私人です。もちろん、Yahoo! も私人です。

次に、「計算において」ですが、これも法律学及びその周辺の学問では良く使われる言葉で、行為の経済的効果がその者に帰属するという意味です。

「Yahoo! 公金支払い」では、私達が払ったお金は一旦Yahoo!の利益になるのではなく、そのまま自治体へと送られます。言い換えれば、Yahoo! の「計算において」ではありません。この点が、「Yahoo! 公金支払い」は「徴税請負」ではないとされる所以です。Yahoo! はあくまで手数料を取っているだけです。

前回も書きましたが歴史上の徴税請負制度は弊害が大きく、「手数料」として法外な金額を取られるのが常でした。

そのため徴税請負人はしばしば怨嗟の的となり、有名なところでは質量保存の法則を発見したアントワーヌ・ラヴォアジエもフランス革命の際にギロチンにかけられました。弁護士はラヴォアジエの化学上の功績を挙げて減刑を乞いましたが、裁判官は「共和国に化学者は不要である( La République n’a pas besoin de savants ni de chimistes. )」と言い放ち、死刑を宣告したと言います。

それほど徴税請負人は憎まれていたということですね。

Yahoo! に話を戻すと、私はそこまで「手数料」に憤慨しているわけではありません。そもそも、複数ある支払い方法の一つに過ぎませんしね。

しかし、21世紀も十と有余年を過ぎた現在に至っても、殆どの自治体に自前のオンライン税収納システムがなく、ネットで払いたければ Yahoo! を通じてしか方法がない、というのも情けない話です。

こういうのこそ国が音頭を取って、システムだけでも作れば良いと思うんですけどね。実際に運用するかどうかは各自治体に決めさせるとして。

徴税の手間も減るし、納税者としても払いやすくなって良いことずくめです。地方の税収が増えれば国としても交付金を節約できます。

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