弱虫は、幸福をさえおそれるものです。綿で怪我をするんです。
太宰治『人間失格』
オリコンがスマートフォン向けの音楽配信サービスを「強化」し、一曲の中心価格は450円とのことです。
450円!
いくらなんでも高すぎですよね。Apple が105円でやっていることをオリコンが450円でやって、通用するとは思えません。
結局、彼らには勝つ気がないということでしょう。失敗ではなく成功を恐れるというのは、個人においても組織においてもしばしば見られる心理です。Apple に対抗して100円前後にしてしまうと、既存の販路からやいのやいの言われてしまうので、ここは無難に450円、というわけです。
音楽業界も斜陽になってきたとはいえ、まだまだオリコンは大会社、下手なことをして火傷するよりは、安全圏でぼちぼちやっていこうという発想が透けて見えるような価格です。
しかしながら、傍から見れば、これが退嬰の道であることは明らかです。Apple に比して弱者であるオリコンが競争に勝つためには、少なくとも一点において Apple を凌駕していなければなりません(ランチェスターの法則)。価格で勝つのが無理ならば他の訴求点でも構わないので、とにかく「これだけは負けない」というのが何か無いといけない。それが見えてこないのです。
音楽業界に限らず、今、日本企業に元気がありません。円高、不況と逆風は強いですが、多くの消費者は本当は日本企業の製品・サービスを使いたいはずです。日本企業にお勤めの皆さん、どうか、勝つことを恐れず、惜しみなく勝って下さい。
外資系にお勤めの方は、たまには負けてみると視野が広がりますよ(笑)