そうめんは古いものほどおいしいが

またもや食品不祥事です。奈良県桜井市の森井食品がそうめんの賞味期限改竄とのこと。中元商戦を前に、業界では風評被害が懸念されているそうです。
解せないのが社長のコメント。

「そうめんは古ければ古いほどおいしいという世界で育ってきた。しかし、昨今の食をめぐる不祥事を考えると、業界の常識は通じなかった」。

全く以てなぜ責められているのか理解していないようです。消費者は”嘘”に対して怒っているのです。そうめんが古かったから怒っているわけではないのです。
そもそも、そうめんは古い方がおいしいというのは常識であって、わざわざ食品会社の社長から講釈してもらうほどのことではありません。仮に、このことがあまり世間で知られていない、従って古いそうめんが売れない、と感じているのならば、周知徹底に努力すれば良いだけのことであって、賞味期限の改竄などに手を染める理由にはなりません。

この種の問題に対して、「賞味期限切れの製品が大量に廃棄されるのはもったいない、だから、ちょっとの改竄にまで目くじらを立てないほうが良い」などと見当違いのことを言う人がいます。
確かに、そうめんはともかく、一般に食品は古ければ古いほど価値が下がります。だから、昨日作ったものを今日作ったと偽ればその価値の差額を騙し取ることができる。これが、偽装の端的な動機です。その方が儲かるからやっているだけのことです。それを「もったいないから」という別の道徳を持ってきて正当化しようとするのは欺瞞に他なりません。

件の社長の言は、泥棒が「貨幣経済の矛盾を是正するために、お金を払わずに商品を取ったのだ」と言い訳するくらい滑稽なものです。
あるいは、泥棒がたまたま○○人であった場合に、「○○人に対する差別が原因」などと言い訳するのにも似ていますね。
それに対しては「○○人差別は確かに由々しき問題だが、あなたは泥棒したんだから、そのことを真摯に反省しなさい」としか言いようがありません。

現代日本で、大量の食品が廃棄されているのは確かに由々しき問題ですが、賞味期限改竄がその解決策であるとしたら、あまりにお粗末な話です。

とはいえ、むやみに新しいものをほしがる私たち消費者にも問題はありますね。スーパーマーケットでも、棚の前の方は古いものが置いてあるから敢えて奥から取る、などといったことを皆当然のようにやっています。同じ値段ならちょっとでも新しい方がいいですもんね。
これは素人考えなのですが、古くなるに従って安くする、という当たり前のことをもっと徹底してやると良いのではないでしょうか。賞味期限を現在よりも長めに設定し、古くなればなるほど安くなっていって、期限ぎりぎりともなると9割引くらいになる。痛んでいるかもしれないけれども、買った人の自己責任。表示が正しい限り、文句は言わせない。どうでしょう。

ああ、この制度だと我が家は古いものばかり食べることになりそうです(汗)

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