北九州市門司区の小森江公園というところに林芙美子の文学碑があります。
林芙美子の生誕の地については諸説あり、本人は山口県の下関と言っていたそうですが、門司の小森江という説もあり、また出生届では鹿児島となっています。
この碑は小森江生誕説に拠るものですね。
真相はともかく、
いづくにか吾古里はなきものか
葡萄の棚下に
よりそひてよりそひて
一房の甘き実を食み
言葉少なの心安けさ
「掌草子」の一節ですが、「よりそひて」と二度繰り返しているところに痺れます。幼少の頃より各地を転々として「自分にはふるさとがない」と感じていたという林芙美子ならではの、心に迫る文です。
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小森江公園は桜が満開でした。