八幡しらずの森はどこ?

数学者、高木貞治の「数学小景」に、

八幡不知、あるいは、やはたしらずの藪、と言っても、若い読者には、意味が通じないかも知れない。

という記述があります。この本が出たのが昭和18年であることを考えると、そのころの若い人、つまり大正、昭和初期生まれの人の間でも既にあまり使われていなかった言葉のようなので、平成も26年を数える今となっては、知らないのが普通でしょう。

実際私もこの本を読むまで知りませんでした。広辞苑には「やわた-の-やぶしらず」として載っており、

八幡にある藪。八幡不知森(しらずのもり)ともいい、ここに入れば再び出ることができないとか、祟たたりがあるとかいわれる。転じて、出口のわからないこと、迷うことなどのたとえ。やわたしらず。

となっています。

で、その八幡がどこかなのですが、よく調べもせずに、今日の今日まで京都の八幡市だと思っていました。そっちの方が有名だし。

ちなみに、八幡という地名は北九州市にもあって「八幡製鉄所」で有名ですが、こちらは「やはた」なので違います。

正解は、千葉県市川市八幡ですね。小学館の「故事ことわざの事典」に

千葉県市川市八幡に、迷いこんだら出られないといわれた「八幡の藪知らず」と呼ばれた藪があったところから、はいると出口のわからない藪。転じて、はいり込むと出口のわからないこと、迷うことをたとえていう。

とあることから明らかです。というか、Wikipedia にはっきり書いてありました

八幡しらずの森

現在では「森」は18m四方ほどにすぎないそうですが、写真(Wikipediaより。パブリックドメイン)で見ると雰囲気ありますね。

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