不言実行にまつわる誤解

最近、「不言実行より有言実行」という意見をよく見かけます。

曰く、「きちんと成し遂げる自信がないから、不言なのだ」とか、「目標を公言することで自分にプレッシャーを与えた方が、実現する可能性が高い」など。

どうやら、有言実行派は「実行」の対象として、プロジェクトの完遂や試験の及第など、自分の利益になる事柄を想定しているようです。

しかし、広辞苑第六版によれば、

ふげん‐じっこう【不言実行】‥カウ
あれこれ言わず、善いと信ずるところを黙って実行すること。

とあります。不言実行というときの実行とは(主として)世のため人のためになにかすることなのです。

「よーし、TOEICで800点とるぞ~」とかそういうことならば有言実行で構いませんが、「これから、募金しまーす」みたいな有言実行はいかがなものでしょう?

もっとも、不言か有言かは些細な問題かも知れません。大事なのは「実行」ですからね。少しニュアンスが違いますが、英語では “Well done is better than well said.”などと言います。

この場合の”Well done”は肉にしっかりと火を通すこと……じゃなくて(笑)、「良く為す」というほどの意味です。

良く為すは、良く語るに勝る、一説にはベンジャミン・フランクリンの言葉だということですが、実に明快な格言ですね。

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