麻雀とサンクトペテルブルグのパラドックスと小泉進次郎

よく漫画やドラマなどで怖い人が高レート麻雀というのをやっています。千点一万円とか、そういうやつです。
しかし、究極の麻雀と言えばいわゆる青天井ということになりましょう。

Yahoo知恵袋で、kimagurel964さんという方が、考え得る最高の飜数は50であると回答されています。

すなわち、

    

で、リーチ(1)、一発(1)、トイトイ(2)、三暗刻(2)、三槓子(2)、混一(2)、混老頭(2)、小三元(2)、白(1)、中(1)、ダブ東(2)、ドラ(32)です。

東場東家のロン和了りで、ドラは、三つ目の槓裏に至るまで全て4枚ずつのっていると仮定した場合です。
符は副底(20)、么九の槓子(32)が三つ、同じく么九の明刻子(4)が一つ、雀頭が役牌(2)、門前ロン(10)なので、合計132、切り上げて140です。

さて、これって青天井だと何点になるのでしょうか。

麻雀の点数は一般に

符 * 2 (飜数+2) * X

です。( X は親の場合 6、子の場合 4 )
つまり、

140 * 2 ^ ( 50 + 2 ) * 6
= 3.78302368699121660000E+018

ですね。……って、よく分かりませんね(笑)

千点百円とすると約37京8302兆円と言えば、少しは分かりやすいでしょうか。

麻雀の青天井はこのように実際には有限ですが、期待値が無限大となってしまうゲームの考察として有名なのが「サンクトペテルブルグのパラドックス」です。
次のようなゲームを考えてみます。

コインを投げて一投目で表が出たら二万円もらえます。
一投目で裏が出て、二投目で表がでたら四万円、
一、二投目で裏が出て、三投目で初めて表が出たら八万円。

つまり、n 投目に初めて表が出たら 2 n 万円もらえるというゲームです。

ただし、このゲームには参加料がかかります。
参加料をいくらまでなら払っても引き合うでしょうか?

n – 1 回まで裏が出る確率が ( 1 / 2 ) n – 1
n 回目に表が出る確率が 1 / 2

ですから、n 回目に初めて表が出る確率は、

( 1 / 2 ) n – 1 ( 1 / 2 ) = ( 1 / 2 ) n

です。このとき得られるリターンは 2 n

従って期待値は、

ですね。

あー、なるほど、期待値は無限大、これは百億円払っても参加する価値ありますね!

……って、なにかおかしいですよね。
これがサンクトペテルブルグのパラドックスです。

サンクトペテルブルグのパラドックスを解決する方法の一つとして提案されているのが、期待効用理論です。

ミクロ経済では限界効用という考え方があります。
ビールを飲むとき、一杯目はすごく美味しい。
二杯目はまぁまぁ美味しい。
三杯目はもういいかな……
という風に、量が増えると感じる美味しさ(限界効用)は減っていきます。これを、限界効用逓減と言います。

上のゲームも同じことで、100億円もらえる嬉しさは10億円もらえる嬉しさの10倍かというとそうでもなく、「多すぎてよーわからん」という状態になるはずです。

従って、金額の期待値が無限大になるからといって、期待効用も無限大になるわけではなく、あるところで頭打ちになるでしょう、というわけです。まぁ、その頭打ちがどのへんで来るのかは人によって違うかも知れませんけどね。

話は、先頃の参議院選挙に飛びます。
この選挙で、自民党の応援演説に各地で引っ張りだこになったのが、小泉進次郎氏です。

小泉氏は、民主党が掲げる「最小不幸社会を目指す」とのスローガンを批判し、「我々は最大幸福を目指す」と述べました。

最大幸福というのはベンサムの古典的な理論で、いわゆる「最大多数の最大幸福」というやつです。

例えば、ここに100人の「飲んべえ」が住む村があるとします。どんな村でしょう(笑
ジョッキ100杯ぶんのビールがあるのですが、強欲な村長が50杯を独り占めし、残りの99人は一人約0.5杯ぶんしか飲めません。
飲んべえがビールを飲んだときの幸福度は、およそ自然対数に比例するとしましょう。
村長がいくら飲んべえだと言っても、50杯も飲めませんから、この人の幸福度はせいぜい、
loge( 1 + 50 ) = 3.932 です。
他の人の幸福度は
loge( 1 + 0.5 ) = 0.405 です。
この村の幸福度の総和は、

3.932 + 0.405 * 99 = 44.027

です。
もし、全員で仲良くジョッキ一杯ずつ飲めば、

loge( 1 + 1 ) * 100 = 69.315

だったはずなのに。

これが、最大多数の最大幸福です。
小泉進次郎氏はこのことを言っているわけですね。

もっとも、民主党の「最小不幸社会」も実はそれなりに合理性のある考え方です。
上記の例えで言えば、ビールを0.5杯どころか一滴も飲めない、ゼロの人が出てこないようにするという考え方ですね。大多数が幸福でもゼロの人が居たらダメじゃないか、と。

私は民主党は大嫌いですが、この考え方は一理あります。

ただ、スローガンとして見たときに「最小不幸」というのはまずい。言葉選びが実に拙劣であると言わざるを得ません。不幸という字面でもう気が滅入ってきます。

その点を鋭く見抜いて批判を展開した小泉氏は、若いのに大変な炯眼ですね。

谷垣さんもまずまずの人物ではありますが、野党の党首としては少し印象が薄いように思われます。

自民党はぜひ、小泉さんを総裁にするべきです。無茶なようでも、その位やらないと政権奪還は覚束ないのではないでしょうか。

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