1995年のアメリカ映画「ジュマンジ」。街中をゾウやサイやキリンなどの大型の動物が暴走するシーンが印象的でした。
あれのことを作中の人物は”stampede !”と言っていました。スタンピード。あまり耳慣れない言葉です。「アメリカン・ヘリテイジ英英辞典 第3版」には
A sudden frenzied rush of panic-stricken animals.
とあります。「恐怖に突き動かされた動物たちの、突然の熱狂的な暴走」ですね。
なぜこの言葉が耳慣れず、また、一言で日本語に置き換えることができないかというと、日本ではスタンピードがまず起きないからです。
一方、開拓時代の南北アメリカ大陸ではバッファローなどのスタンピードがしばしば起きており、現在でも危険な現象として認知されています。一旦あの状態になると、その先にあるものをみな踏みつぶしていきますからね。
ちなみに、”stampede”はスペイン語(estampida)由来ですが、スペイン語はスペイン語でも、メキシコ・スペイン語です。estampidaは爆発などを意味します。アメリカ大陸に来て初めてあの夥しい数の動物の暴走を見たスペイン人は、あれを爆発と表現したのでしょう。
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スタンピードを表す日本語はないと言いましたが、漢字ならあります。
犇
日本では「ひしめく」と訓じますが、音読みは「ホン」で「奔」と同義です。
中国大陸でもしばしばスタンピードは起きており、彼らはそれを「犇」という漢字で表したわけですね。