芸能人の母親による生活保護の不正受給疑惑が問題になっています。
福祉事務所の怠慢
恐らく、保護を開始した時点ではこの母親も芸能人の息子も本当に貧乏で、受給資格を満たしていたのでしょう。それが、息子が急に売れだすという「想定外」のことが起きて、途中から「息子の扶養にかかるべき」ケースに変わってしまったわけです。
そういう意味では、福祉事務所の怠慢が大きな原因の一つ、と言えます。
「何を言うか、息子に多額の収入がありながら、保護を辞退しなかった親子が悪い」とお思いでしょうか。確かに悪いのですが、私は、ある程度やむを得ない面があったと考えます。
以下は、誤解を生みやすいので注意して読んで下さい。
刑事事件の被告人は、裁判でウソをつくと偽証罪に問われるでしょうか?
答えは否。ウソをついても罪に問われることはありませんし、言いたくないことは言わなくても構いません。なぜかというと「どうせ本当のことを言うわけないから」です。
頗る語弊がありますが、生活保護受給者もこれに似た立場にあります。もちろん、生活保護を受けることは犯罪ではありませんし、収入があるのにないと偽って保護費を騙し取れば詐欺罪になります。一視同仁に語ることは出来ませんが、「正直な答えが期待できない」という意味では両者は似ています。
ですから、福祉事務所は受給者本人(及び扶養義務者)の言い分をあまり信用せずにしっかりと調査をしなければなりません。
生活保護は刑事政策
さて、「犯罪」というキーワードが出ましたが、実はこれが本エントリの核心でもあります。
生活保護法は憲法25条の生活権を具体化したもの、ということになっていますが、本当の本当は、これって刑事政策ではないのか、と。
言い換えれば、包丁を持って今にも牛丼屋に押し入ろうとしている人に、「これで牛丼を食え」と金を渡しているようなものではないのか、ということです。
生活保護制度には保護から抜け出すインセンティヴが殆どなく、たいていが一度貰ったら一生飼い殺しであることもそれを裏付けています。
実にうまい方法です。なにしろ、犯罪者予備軍が自分から窓口を訪れて住所氏名を申告してくれるのですから。
そう考えると、外国人に対して、率にして日本人の倍近くも支給されていることにも合点がいきます。
これは、日本人に対する逆差別でもなんでもなく、外国人に対する差別そのものです。要するに彼らは犯罪者となる可能性が高いので金でおとなしくさせておけ、というわけです。
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これは決して穿ちすぎた見方ではないでしょう。
今までの日本にはこのように生活保護をシットダウンマネーとしてばらまくだけの財力がありました。しかし、これからはそうもいかなくなります。
単純にお金が足りないことだけでなく、国民の不信・不満も限度を超えつつあります。上では犯罪を予防する「うまい方法」と述べましたが、制度を悪用する手法は年々高度化し、闇社会を肥え太らせることによって、却って表の社会を危険に晒しています。
ここは一つ、生活困窮者の救済という本来の趣旨に立ち返り、現金支給をやめてフードスタンプなど不正が起こりにくい方法を模索するべきです。
大変なのは分かります。フードスタンプにしても決して完璧な制度ではないことも承知しています。しかし、変えていかなければ何も変わりません。