Google の独占で良いのかの続きです。
私が Google を危険視する最大の理由は、彼らが広告事業によって資金の流れを支配し、検索事業によって情報の流れを支配していることです。
現在、インターネットに流入するリアルマネーは、ほとんどが広告費です。Googleはネットのカネの入り口を押さえているわけです。
ちなみに Google AdSense には、「同じサイトに他社のコンテンツマッチ広告を貼ってはいけない」という規約があります。以前は同じ「ページ」に貼らなければOKだったのですが、同じ「サイト」へと変更になりました。
凄いですよね。「絶対に競合他社を潰してやる」という強い意志が感じられます(笑
それはさておき、このように、ネットにおける資金の流れと、情報の流れを両方とも押さえているのが Google の強さの本質です。
一方、前回、Google 以外で勢いのある企業の一つとして挙げた Apple には、ジョブズ氏一人にあまりにも多くを負っているというアキレス腱があります。製造を中国の安い労働力に頼っているという弱点もあります。
Microsoft は PC の利用率の相対的低下により元気がありませんし、Yahoo! に至っては Google から検索エンジンを提供されるようになってしまいました(現在、Yahoo! Japan の検索結果は Google とほぼ同じです)。
Apple も Microsoft も、iPhone や iPad、Windows PC といった「形のあるもの」を扱っており、それらが陳腐化し飽きられてしまう可能性が常につきまとっています。
Google は違います。Google は、ほとんど純粋に情報という「形のないもの」を扱っており、死角が見当たりません。
Google の一人勝ちは今後も続くのでしょうか。
Google 凋落の日は来るのか?
Google が弱みらしきものを持っているとすれば、それは「顧客軽視」の風潮でしょう。
一度 AdWords に出稿してみると分かります。入金を済ませると、「オンライン キャンペーン アクティビティのお支払いが承認されました」なる文言が表示されます。
「承認」ですよ、承認。
「よろしい、お前の金を受け取ってやろう」という態度なのです。普通ならば「確認いたしました」と書くところです。
うん、まぁ、これは言いがかりかも知れませんね(笑
好意的に見れば、無事クレジットカードが使えましたよ、という意味に過ぎず、さらに言うと、英文からの翻訳がこなれていないだけなのでしょう。
が、客にそういう雑な訳を見せることからして、日本 Google の「驕り」のあらわれに思えてなりません。
また、Google は、問い合わせに応じる体勢が貧弱で、たいていは木で鼻をくくったようなテンプレメールが返ってきます。肝心の知りたいことが書かれてなかったり、書かれていても核心から微妙にズレていたりで、彼らの意図を解読するのは骨の折れる作業です。
Google は、設立してからまだ12年、挫折を知らないために、確固たる企業文化を形成するに至っていないように見えます。なにしろ、創業者からして30代の若者です。
分割されるべき
とはいえ、冒頭に述べたように、ネット上のカネと情報の流れを押さえているGoogleは、やはり強力です。いや、強力すぎると言えましょう。
思うに、ますます拡大を続けるインターネットの世界で、資金と情報というライフラインを共に一つの会社が握っているというのは、望ましいことではありません。
我が国では、金融コングロマリットは優越的地位を濫用する虞が強いために、さまざまな規制を受けます。例えば、「金を貸してやるかわりに、当行が指定する会社と取引しろ」などといったことは禁止、みたいに。
ネットにおける Google の地位もこれに近いものがあります。確かに、Google はそういう邪悪なことは「まだ」やっていませんが、これからどうなるかは分からないことは、先週、縷々述べた通りです。
私見ですが、インターネットに於ける広告事業と検索事業を一つの会社が行うことを法律によって禁止し、Google 等は、広告部門と検索部門とに分割されるべきではないかと思います。
無論、Google のみというわけではなく、規模など、一定の要件に当てはまる企業を対象とします。
もっとも、Google はアメリカの企業なので、アメリカの立法府、ひいては有権者の判断次第ということになります。彼らは、Google がアメリカに利益をもたらしているうちは、多少の弊害には目をつぶるかも知れません。
難しい問題です。