足のマニキュアって……

昔々、ドイツ語の先生が言っていたことです。とある百貨店で、ペディキュア用のエナメル液を「足のマニキュア」として売っていたそうです。

当時はペディキュアが一般的ではなかったので無理もありませんが、「足のマニキュア」というのは英語の素養がある人から見ると非常に奇妙な表現です。

英語では手の指を finger、足の指を toe と呼んで区別します。同様に mani- ( manu- ) という接頭語は手に関係し、pedi- という接頭語は足に関係するのです。

英語に限らず印欧語では例外なく手の指と足の指とは別の単語になっています。

「足のマニキュア」の違和感を伝えるのは難しいのですが、靴下のことを「足の手袋」と言うのに近い、と説明すると分かっていただけるでしょうか。

もっとも、カタカナ語が元の言語と微妙に、あるいは全く異なる意味で使われるのは良くあることで、日本では「マニキュア」とは「爪に色を付けること」と理解されているとすれば、「足のマニキュア」も、さほどおかしな表現ではないのかもしれません。

ちなみに、今確認したところWikipedia日本語版でも

ペディキュア(Pedicure)は、マニキュアの一種で、足の爪や足そのものの見た目をよくする方法のひとつ。

となっていますね。

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