最近、入社試験でフェルミ推定をさせるのが流行りだそうです。例えば、バスの中にゴルフボールが何個入るかというような問題です。前提となる数値、この場合バスの容積やゴルフボールの直径などを知っているかということはあまり重視されません。
大事なのは筋道を立てて推測を行うことができるかどうかです。
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ためしにバスにゴルフボールが何個入るかを推定してみましょう。まず、ボールをざざーっと適当に流し込むか、キッチリ間を詰めて並べるかでアプローチが変わります。どうせ「推定」ですから前者が自然とも言えますが、ここは敢えてキッチリ並べるとして考えます。
上の図をご覧下さい。下の段のボールをきっちり詰めて並べ、そのくぼみに沿うように2段目を並べます。
上から見るとこのようになります。ゴルフボールの半径を r とすると、下の段のボールの中心から上の段のボールの中心までの高さは、
です。従って、n 段並べるとその高さは
です。
さて、フェルミ推定なので、ゴルフボールの直径とバスの容積は調べずに勘で当てなければいけません。私はゴルフボールの直径を4cm、バスの容積を2x2x10で、40立方メートルと考えました。とりあえず、この前提で計算を進めます。
座席などは取っ払ってしまいましょう。とにかく詰め込めるだけ詰め込むのです。
まずは高さについて考えます。ゴルフボールの直径が4cm、つまり半径が2cm、バスの内側の高さが2mなので、
nについて解くと 61.012、切り下げて61個並べられます。奥行きに関しても同様に計算すると288個です。幅(正確には3軸のうち一方向)は単純に4で割る必要があるので、50個です。全部掛け合わせると
61*50*288 = 878,400(個)
ということになります。
座席や、詰め込みが甘く隙間ができてしまうことを考慮すれば、二割減、70万2千7百個くらいでしょうか。
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後から調べてみると、ゴルフボールの直径は1.68インチ(42.67ミリ)以上だそうで、4cmよりは少し大きいものの案外近かったようです。バスの容積も車種によりますが内側の高さと幅は2.3m前後、奥行きは10m前後のものが多く、私の推定は当たらずとも遠からずだったと言えましょう。