正規分布のグラフの一番簡単な描き方

Biz.IDの古い記事を見ていると「“キャズム”グラフをExcelで描く方法」というのが目にとまりました。

ふーむ、仕事で使い慣れたExcelで、というのは分からなくもないのですが、MS Officeって結構高価なものですし、自宅では使ってない、って人も多いのではないでしょうか。

実は筆者もそのクチで、自宅ではOpenOfficeを使っています。ただ、このOpenOfficeに含まれている”Calc”がMS OfficeのExcelに相当するのですが、微妙に関数の書式などが違っていて、使いこなすのは意外に大変ですね……。

それはさておき、Windowsをお使いの場合、”PowerToy Calc”を利用するのが一番簡単な正規分布のグラフの描き方です。
PowerToy CalcとはMicrosoftが配布しているフリーソフト集、PowerToysに含まれている電卓ソフトで、要するに、OSに付属している電卓の高機能版です。
これを使うと数式をそのまま打ち込んで計算できるので、とても便利なのです。

さて、正規分布のグラフ。
PowerToy Calcを起動して左上の”Graph”にある”Window”ボタンを押します。あとは正規分布の式

正規分布

を、以下の書式で入力するだけ。

f(x)=1/sqrt(2*pi)*(exp(0-x^2/2))

これで、グラフが描けちゃいます。

正規分布グラフ

Range(範囲)は適宜調節してください。
ご覧の通り、関数を自由に定義できるのはもちろん、定数も最初から定義されている pi と e に加えていくつでも好きなだけ定義できます。
どうぞ、お試しあれ。

マインドマップと書道

マイコミジャーナルの記事で、マインドマップの講座の様子が取り上げられています。
興味深いのは、「絵を描くこと」「枝は直線ではなく有機的に描くこと」「複数の色を使うこと」が重視されている点です。

マインドマップ創始者のトニー・ブザン氏によれば、右脳と左脳をバランスよく使うのが基本的なコンセプト、なのだそうです。中心にセントラルイメージを描くこと、そしてそれは文字でなく、必ず絵でなければならないことなどは、まさしく右脳を使うためなわけですね。

枝を直線でなく実際の植物と同じように有機的に描く、というのも同じ。アールデコ調よりアールヌーボー調が良いわけです。

思うに現代人は、多かれ少なかれ「理系脳」になっていて、論理層と物理層とを分けて考えるようになっています。例えば、「作文は字(物理層)が汚くても、内容(論理層)が良ければOK」みたいなことが良く言われます。物理層が軽視されているのです。
それはそれで理系的な思考には役立つのですが、これって「左脳」ばかりを使うことと同義ですよね。

もともと東洋人は、「書は人なり」といって、物理層も大事にしてきました。かといって、内容を疎かにしてきたわけでもない。バランスがよいのです。「文字」を単なる意思伝達のための記号としか見ない西洋人に比べ、我々は古来より「文字」の美しさを鑑賞の対象とすることで上手に右脳を使ってきたわけです。殊に草書などに至っては見るからに曲線の連続で、右脳を使いまくってそうです。

それにしても、最近は仕事でもキーボード、趣味でもキーボード(あるいは携帯電話のボタン)と、毎日毎日、カタカタやっているばかりでは、そりゃ左脳偏重になりますよね。
筆者は、マインドマップは少し気恥ずかしいし、書道は敷居が高いので、まずは久しぶりに紙と鉛筆でアイデアを練ることから始めたいと思います。

論理のお話

先日の言うを「ゆう」と書いて何が悪いという記事の、

PならばQである
χはPではない
従って、χはQではない

が(なぜ間違いなのか)よー分からんと、オフラインで指摘を受けたので、どう説明すれば分かりやすいか考えてみました。

人は(いつか)死ぬ
ソクラテスは人である
従って、ソクラテスは(いつか)死ぬ

この演繹は正しいですよね。これがですね、

ソクラテスは(いつか)死ぬ
この人はソクラテスではない
従って、この人は死なない

になってしまってるわけです。どう見ても間違ってますよね。
こんなアホな論法使う人間が居るとは信じられないかも知れません。ところが、居るのです。結構多いのです。しかも、間違いを指摘されると「やれやれ、最近の若い人はソクラテスも知らんのか」などと見当外れのことを言う……。困ったものです。

 

盃を傾けながら秋の宵

お気に入りのあの曲がかかるのは……

今日はちょっとした頭の体操です。

今、CD アルバムの中に 16 曲入っているとします。その中でお気に入りはただ一曲です。ランダム(シャッフルではなく)に曲をかけていって、16 曲以内にその曲がかかる確率は?
実は答えは計算しなくても分かります。約 63% になるはずです。以下に簡単に説明します。

まず、1 回の試行でその曲がかかる確率 p は当然 1/16 ですね。これは簡単。
では、16 回やって 16 回ともかからない確率 y はどうでしょう。

y = ( 1 – p ) ^ ( 1 / p )
= ( 1 – 1/16 ) ^ ( 1 / (1/16) )
= 0.356

従って、16 回のうち 1 回でもかかる確率は 1 – 0.356 = 0.644
あれ、1% 誤差が出てしまいました。が、事前の予測は概ね正確でした。

なぜ分かるのかと言いますと、ある事象の起きる確率が p のとき、 1/p 回試行して一度もその事象が起きない確率 y は、p が十分小さければ自然対数の底 e の逆数に近似するからです。

demonstration.gif

つまり、上記の例で言いますと、16 曲だろうと 100 曲だろうと、確率分母の回だけかけて少なくとも一度はお気に入りの曲がかかる確率は 1 – e-1 = 0.632
常に、約 63% になります。理屈は少々難しいですが、使い方は驚くほど簡単です。それにしても、e の性質は本当に不思議ですね。

さてさて、お正月から随分と頭を使ってしまいました。頭を休めるために Furry Lewis でも聴こうと思います。Back On My Feet Again はいつかかるかな~。